自民党の理念
平成7年3月5日
一、 わが党は、人格の尊厳、基本的人権を尊重し、自由な社会を守る自由主義の政党である。
一、 わが党は、国民とともに未来に向けてつねに改革を進める、開かれた民主的な政党である。
一、 わが党は、世界平和と人類の繁栄、地球環境保全に積極的に貢献する平和を守る政党である。
自民党の・新網領
平成7年3月5日
一、 国際平和国家を!
  私たちは、冷戦後の新しい世界秩序をつくるため、人道的で平和に寄与する国際貢献を積極的に推進し、世界の国々から信頼される品格ある「国際平和国家」の建設をめざします。
一、 清新な政治の確立を!
  私たちは、常に政治家としての良心と責任感をもって国民から信頼される「清新な政治の確立」をめざします。
一、 活力ある経済の持続を!
  私たちは、円高、産業の空洞化、雇用不安を克服するため、新しい経済の枠組みをつくりつつ、「活力ある経済社会の持続」をめざします。
一、 小さな政府を!
  私たちは、行財政改革、規制緩和、地方分権を政治の責任で断行し、国民に過大な負担をかけず、過大に介入もしない「小さな政府」をめざします。
一、 心豊かな人づくりを!
  私たちは、よき伝統文化を大切にし、教育と家庭基盤の充実を図って「心豊かな人づくり」をめざします。
一、 科学技術立国を!
  私たちは、最先端技術の基礎的、独創的な研究開発を推進し、日本が世界に開かれた知的集積センターとなるよう「科学技術立国」をめざします。
一、 男女共同参画型社会を!
  私たちは、女性が地域、職場、政治などのあらゆる分野に積極的に参画し、女性も男性も、その才能を十分発揮できるような「男女共同参画型社会」をめざします。
一、 生きがいと潤いのある生活を!
  私たちは、少子高齢社会を迎え、医療、福祉を一層充実する一方、ボランティア活動や高齢者の社会参加を促進することで、「生きがいと潤いのある生活」をめざします。
自民党新宣言
平成7年3月5日
21世紀に向けて新たな出発
  戦後50年、そして自由民主党の結党から40年という、大きな節目の年を迎えました。私たちはここに再生し、21世紀に向けて新たな決意で出発することを誓います。国民の皆さんが「自由民主党は確かに生まれ変わった」と受け止め、再び圧倒的な支持を下さるよう、渾身の力をふりしぼっていきます。

  私たちは戦後の長きにわたって責任政党として政権を担い、今日の繁栄と平和を築いてきたものと自負しています。しかし一方で、その間に奢りや腐敗が生まれ、国民の厳しい批判を受け、政権を失うという苦い体験をしました。その反省のうえに立って、私たちは、二度と国民の皆さんを裏切ることのないよう、常に政治家の良心と責任感をもって真摯に取り組む決意です。

   政治への信頼を取り戻すため、私たちは選挙制度を含む抜本的な政治改革を断行しました。政策本位の選択を求めた新しい試みが、これからなされようとしています。国民の皆さんがいま、その行方を鋭い視線で見守っていることを十分に自覚しています。国民感情や社会常識から遊離することのないよう心掛け、けじめを明確にして厳正に対処する決意です。

   冷戦の終結は、私たちが掲げてきた自由、民主、市場経済主義の勝利を意味しています。いまこそ地球上のすべての国民が、国境を越えて共に生きる時代をつくるときですが、一方で地域紛争や飢餓など多くの問題を解決できずにいるのも事実です。 私たちは新しい世界秩序を創造するため、国連や各種の国際機関と協力して平和維持活動や環境、飢餓、難民、医療といった、人道的で平和につながる国際貢献に積極的に取り組んでいきます。 そして、世界のどの国、どの人々からも信頼される、品格ある国際平和国家をめざします。私たちはいま、明治維新にも匹敵するような変革のうねりの中にいます。どの国も経験したことのない超高齢化社会を迎える一方で、成長あるのみという前提でつくられてきた経済社会システムが、明らかに行き詰まっているからです。

   狭い国土と恵まれない資源のもと、国民のたゆまざる努力と先人たちの誤りなきかじ取りによって、驚異的な経済発展を成し遂げてきたわが国ですが、バブル経済が崩壊するなか、激しい円高、産業の空洞化といった現象も起きています。私たちはこれらの壁を打開し、活力ある経済を持続するため、新たな国際経済の枠組みの中で発展する日本経済の仕組みを作っていきます。

   そのために、肥大化、硬直化した官僚機構や行政権限、規則、時代にそぐわなくなった法体系などを、政治の責任で見直し、「小さな政府」を目指して改革しなければなりません。それは大きな痛みを伴う大事業です。しかし私たちは瀕死の状況にあった国鉄を、周到な準備と勇気ある決断によって分割民営化し、見事に再生させた実績をもっています。不屈の決意と国民の支持・協力があれば、必ず成し遂げることができます。

   こうした時代こそ、私たちは改めて科学技術の飛躍に夢を託したいと考えます。わが国がめざすべき道は、多くの最先端技術の分野で基礎的、独創的な研究開発を進め、新たな産業を生み出し、世界に向けて知的集積センターになることです。私たちは中長期的な視野に立って、基礎科学の充実と人材育成に力をいれています。

   同時に、私たちは近い将来、高度情報化ネットワークの充実によって、大都市集中から空間のある地方への分散を進め、働く人々が豊かな自然の中で、ゆとりある生活を享受できるよう努めます。

   少子高齢社会を乗り越えるため、新しい社会システムを創造していきます。世界に冠たる医療、年金、福祉を一層充実する一方、市民の社会参加やボランティア活動などを通して連帯、共生、人権尊重の機運を高め、心豊かで潤いのある社会をめざします。女性が積極的に社会活動に参画し、その才能を十分発揮できるような環境づくりに力を注いでいきます。次代を担う子供たちが、人間性豊かで、思いやりの心を持ち、そして世界に大きく羽ばたいていけるような教育の充実も心がけていきます。

   いま政治に対して、女性や若い世代の関心が失われつつあると指摘されています。私たちは政治不信の原因を率直に反省するとともに、多くの女性や若者たちも政治に参加できるよう、努めていかなければなりません。女性も男性も、お年寄りも若い人も政治に参画してこそ、初めてバランスのとれた誤りなき選択ができるからです。

   国の指針となる憲法については、すでに定着している平和主義や基本的人権の尊重などの諸原則を踏まえて、21世紀に向けた新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民と共に論議を進めていきます。

   私たちは、困難でも無限の可能性を秘めたこれからの時代を、「自由」「民主」「平和」の旗を高く揚げ、国民の皆さんとともに歩み、いっしょに乗り越えていく決意です。そのために、常に国民の皆さんの理解と合意を得ることを大切にしていきます。また日本の良き伝統文化を大切にし、改めて家庭の果たす役割を十分認識しながら、心の豊かさを追い求めていきたいと思います。

   21世紀は、もうすぐそこにきています。豊かで生きがいの持てる、そして平和な世界と日本をつくるため、自由民主党は必ずご期待に応えることを誓います。